アトリエ派&大規模修繕のアーキノヴァ設計工房>スイス・ドイツ・フランス・イタリア・ヴァチカン市国研修旅行記 (バーゼル・ラインフェルデン・ヴィトラキャンパス・ロンシャン・ ローマ・ヴァチカン市国)建築巡礼の旅
旅行日記
スイス・ドイツ・フランス・イタリア・ヴァチカン市国研修旅行記
(バーゼル・ラインフェルデン・ヴィトラキャンパス・ロンシャン・ ローマ・ヴァチカン市国)建築巡礼の旅
潟Aーキノヴァ設計工房 代表取締役 柏本 保

去る2023年9月14日から9月24日までの11日間、5度目のヨーロッパ研修「スイス・ドイツ・フランス・イタリア・ヴァチカン市国」の建築巡礼の旅に行ってきました。“建築好き父子の珍道中”『ヨーロッパ建築巡礼の旅・第5弾』です。

今回も旅行前に、東京に勤務している息子の関西出張時に合わせ、何度も旅程の討議を重ねた結果、スイス「バーゼル」、「ラインフェルデン」、ドイツ「ヴィトラキャンパス」、フランス「ロンシャン」、イタリア「ローマ」、ヴァチカン市国の5か所を巡るハードな旅程となりました。今回の研修の目玉は、ル・コルビュジエ設計の「ロンシャン礼拝堂」、ローマの中心部にある独立国「ヴァチカン市国」の見学です。

 「ロンシャン礼拝堂」はフランスの東部、スイスとの国境に近いロンシャン地方に建っていて、パリから列車で4時間近くかかりますが、スイス・バーゼルからは約1時間30分で到達できる利点から、前半の4日間はスイス・バーゼルに拠点を置きました。

 バーゼルはドイツ、フランスの国境に接する人口わずか17万人の一地方都市ですが、街の中心を雄大なライン川が流れ、芸術への関心が高く、伝統を重んじる一方で新しいものを取り入れる風土は独特の文化を生み出しており、まさしく現代建築の宝庫という名にふさわしい都市であり、建築に携わる我々にとって、大変魅力的な街であると同時にとても清潔で美しい街です。


バーゼル大聖堂

また、2008年開催の北京オリンピックのメイン競技場“北京国家体育場(鳥の巣)”の設計で有名な建築家ヘルツォ―ク&ドムーロンの出身地。数々の彼らの作品があり、今回訪れたドイツ「ヴィトラキャンパス」への移動も極めてスムーズです。

9月14日に羽田を出発。9月15日(1日目)お昼頃バーゼルに到着し、ホテルに荷物を預けました。バーゼルの街は主な移動手段は市内を縦横無人に走る“トラム(路面電車)”。車の通行量は少なく、宿泊ホテルで発行されるカードでトラム、バスが無料。美術館等の入場も半額になります。 初日はそれ程時間的余裕がないので、4か所程度の見学となりました。

まず、最初に「バーゼル大聖堂(バスラー・ミュンスター)」に向かいました。ゴシック様式の建造物で絵本のような旧市街地のランドマーク的な建物で、赤い砂岩の外観とグリーン色の屋根、2つの細い塔が特徴的な建物です。内部はゴシック様式で、天井の高い開放的な聖堂内には3段重ねの美しいアーチが連なり、厳かな空気が漂っています。 

                                   次に「バーゼル市庁舎」に向かいました。ミュンスターと同じ赤砂岩のゴシック様式。16世紀に建てられた建物であり、現在の姿は19世紀末の改修によるものです。マルクス広場前に面し、壁面のフレスコ画が美しい建物ですが、ビル群の中に埋没しており、バーゼル市のシンボル建物としては少し存在感に欠ける印象でした。

それから、「バーゼル市立美術館・市立美術館新館」に移動しました。

「市立美術館」は絵画や彫刻4000点、デッサンやポスター等30万点を所蔵しています。世界最古の公立美術館としても知られており、レンブラント、モネ、ゴーギャン、ピカソ、シャガール、クレー等そうそうたる顔ぶれの見ごたえある作品が多数鑑賞できました。次に「市立美術館新館」に移りましたが、タイミング良く“マティス展”が開催されており、作品の変遷が良くわかり、数多くの作品を堪能いたしました。 


ピカソ

9月16日(2日目)最初に訪れたのは、レンゾ・ピアノの作品「バイエラー財団・美術館」。バーゼル近郊の住宅街リーエンにある文化団体であり、バイエラー夫妻のコレクションを中心とした現代美術館。空調設備ダクト等の全設備を床下に配置し、幾重ものガラススクリーンを透過、反射させるなど、全ての部屋に均一な自然光が入るようトップライトが配慮された設計となっています。緑豊かな庭園、建物と調和のとれたファサード前の池も象徴的でした。 


バイエラー財団・美術館


次に見本市会場「メッセ・バーゼルホール1」へ向かいました。これ以降の見学は全てヘルツォ―ク&ドムーロン設計の建築です。

従来、道路を挟んで分かれていた2棟を空中でつなぎ合わせ、1棟にしたリノベーション。トラムを走る路面上部に大きな開口部を設置、ここから円形の光が差し込み、圧迫感を軽減しており、効果が抜群です。建物は細長く巨大であり、外装のアルミは空を映しこみ建物の巨大さを緩和しており、地域のランドマークとなっています。

次に訪れたのは、「シャウ・ラガー」。ローレンツ財団の美術品の収納庫兼美術館で、石で作られたゲートの中は洞窟のような造りになっており、建物本体の内部空間は造形的な局面の壁、天井が刺激的でした。外壁のギザギザのワイルドな切込みが象徴的で、時間の経過と共に存在価値が増すと思われるとても印象的な建物です。


シャウ・ラガー


続いて、「シグナル・ボックス」。ヘルツォ―ク&ドムーロンの出世作となったスイス鉄道の信号所。線路上に2か所あり、テープ状銅板を巻いたようなデザイン。銅の色合いや風合いの経年変化も味わいとなっており、単純明快なデザインが特徴的です。

 次に、「フォルクスハウス・バーゼル」に移動。中世からレストラン、イベント、ホテルなどの用途に使われていた建物を昔の姿に戻しつつ活気を取り戻すプロジェクトです。当日は当該建物前でイベントが開催され、アマチュアバンドの演奏が行われており、迫力のある演奏を大いに楽しむことができ、爽快な気分に浸りました。

本日最後の見学は、「ズドパークバーゼル」。開口部が複雑にデザインされた複合ビルで、オフィス、スーパー、老人ホーム等が併設されています。スラブとランダムな開口部との取り合いの処理が興味深く、内部のディテールを見てみたい衝動にかられました。

 9月17日(3日目)早朝からドイツに向かい、スイスの家具メーカー・ヴィトラ社の敷地内にある建物見学です。80年代から、フランク・ゲーリーによる「デザインミュージアム」からはじまり、アルヴァロ・シザ、ザハ・ハディド、安藤忠雄、ヘルツォ―ク&ドムーロン、SANNA等、きら星のような建築家によるさまざまな用途の建物群が立ち並び、今や建築の聖地となっています。


ヴィトラハウス(ヘルツォ―ク&ドムーロン)


今日は、午前11:00から約2時間の英語によるガイドツアーを予約しており、12,3人のメンバーによる見学ツアーとなりました。ヘルツォ―ク&ドムーロン設計のショールーム「ヴィトラハウス」、フランク・ゲーリー設計の「デザインミュージアム」、安藤忠雄設計の「会議場」、SANNA設計の「工場」、篠原一雄設計の「ゲストハウス」、リチャード・バックミンスター・フラー設計の「ドーム」、最後にザハ・ハディド設計の「消防署」等を巡りました。何分、英語によるガイドツアーのため、私は“ツアー参加者が“笑っている場面で、意味が分からない”等の不便さはありましたが、息子はある程度理解できたようでした。

 中でも、ヘルツォ―ク&ドムーロン設計のショールーム「ヴィトラハウス」は貫きあいながら重なる勾配屋根の造形が複雑な空間を形づくっており、長さは最大45m、巾9m、片持ち梁は最大12mにおよび、圧倒的なインパクトのある建物となっています。

また、日本人の建築家が設計した建築が4棟あったことが誇らしくもありました。
その後、スイスへ戻り、ライン川に面するラインフェルデンに移動しました。川沿いの旧市街は、出窓や壁絵、軒先の看板も美しい家が連なって残っています。ガイド本で見たこの美しい光景を写真に撮り、ぜひスケッチしたいとの思いからあえて訪れた街ですが、期待にたがわず中世の面影を残したロマンチックで素敵な街並みでした。

 駅の山側にそびえるレンガ造りの城のような建物は「ビール工場」との予備知識があったので、ライン川沿いのレストランで地ビールをおいしくいただきました。


ラインフェルデン・ライン川沿い街並み


9月18日(4日目)はいよいよ待ちに待ったル・コルビュジエ設計「ロンシャン礼拝堂」の見学です。昨年「ラトゥーレット修道院」を見学したので、ル・コルビュエの作品の内どうしても訪ねておきたい建物は「サヴォア邸」等を含め、概ねこれで完了です。早朝ホテルを出発し、ロンシャン駅には午前10時前に到着。タクシー等は使わず、徒歩で山道を上るコースを選択いたしました。山道を登ること30分、ようやく目的地にたどり着きました。視界が開け、念願の建物が眼前に飛び込んできました。

実物は写真で見るよりコンパクトな印象ですが、特徴的な屋根は“蟹の甲羅がモチーフ”と言われており、1955年の建設。当時の教会建築としては全く異質な建物ですが、曲面を多用した彫刻的造形の外観は感動的です。内部に入るとやや薄暗い印象でしたが、外部から想像するより意外と広く、大小さまざまな色ガラスから透過してくる色彩が神秘的な空間を創出しています。我々が訪れた時間帯は、まだ来訪者も少なく居心地の良い空間を1〜2時間程度独占でき、時の流れがストップ。至極のひと時を過ごし、感激ひとしおでした。


ロンシャン礼拝堂・ファサード


9月19日(5日目)早朝、スイスからイタリア・ローマに飛行機で移動しました。今日からは4日間のローマ研修です。イタリアは気候も良く、お国柄も陽気で、フランス同様お気に入りの国であり、今回で3度目の訪問です。ローマは6年前に1度来たきりなので、今回はローマに腰を据えた研修です。テルミニ駅に午後3時過ぎに到着したので、今日は時間的に余裕がなく、2か所のみの見学です。

まずは、駅の近くの「サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂」に向かいました。ローマの4大バシリカ(古代ローマ様式)の一つに数えられる建物で、4世紀に建設されて以来なんども改築され、内部は各時代の芸術式手法を見ることができます。金色に輝く天井は壮麗であり、内部の36本の列柱は、古代ローマの神殿から運ばれたもので、柱と中央祭壇を飾るモザイクは素晴らしく、圧巻です。


サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂


それから、ローマ国立博物館(マッシモ宮)に向かいました。紀元2世紀から4世紀の彫像、レリーフ、絵画の作品をふんだんに展示。古代ローマのフレスコ画や、モザイク画等も保存状態が良く、古代ローマの洗練された芸術を間近で感じ取ることができました。

 夕食後に名画「終着駅」の舞台となった巨大で雑多の施設を有するテルミニ駅構内を巡りました。ガラスの大理石をふんだんに使った重厚な外観の駅は、列柱で支えられたバランス良くデザインされた大きな庇が夜間照明で浮かび上がる姿がとても印象的でした。

9月20日(6日目)はローマの中心部を10か所以上巡るハードなスケジュールです。まずは、「カラカラ浴場」。紀元216年頃カラカラ帝によって造られた大浴場の跡。浴場部分だけでも冷水浴場、サウナ、高温浴室などの施設があり、色鮮やかなモザイク床で覆われた豪華な内装を誇ったようです。1600人もが入浴でき、ともかくその規模は巨大で、当時の文化度の高さに驚嘆するしかありません。

 次に「コロッセオ」に向かいました。紀元72年に着工し、8年の歳月をかけて完成した4階建ての古代競技場。剣闘士と猛獣との生死をかけた試合が行われ、50,000人を収容できました。各階で建築様式が異なり、1階はドーリア式、2階はイオニア式、3,4階はコリント式で、身分の高い人は低層階で見物し、身分の低い人は上層階で見物するよう階層別に座席指定していたようです。競技場床は人力で地下からせり上がるよう工夫されており、夏場の日よけ等の設備も設けられていたようです。

 それから、「フォロ・ロマーノ」に移動。ここは古代ローマの政治、宗教、商取引の中心地でした。ローマ帝政時代歴代の皇帝達は権力の象徴としてこの地に元老院、裁判所、凱旋門を次々に建立しました。中心はクーリア(元老院)で、議会場として使われました。広大な敷地はまともに歩けば、3時間はゆうにかかる広さです。最盛期のローマ帝国の権力の大きさと繁栄ぶりを想像することができます。


カラカラ浴場


そこから、隣接のパラティーノの丘に登り、2度目の来訪となる「サンタ・マリア・イン・コスメディン教会」へ移動しました。「嘘つきが手を入れると食べられてしまう」という逸話のある“真実の口”があります。名画『ローマの休日』では、オードリー・ヘプバーン扮するアン王女が口に手を入れた際の驚いた顔が印象的でした。

次に訪れたのは、「マルケレス劇場」。紀元前11世紀頃に建設された古代劇場で、当時は15,000人程度収容したそうです。中世には城塞として利用され、16世紀には豪壮な館となり、2層のアーチの上にルネサンス様式の建物が組み込まれ、建物の一部が現在は集合住宅として利用されています。


真実の口


リアに関する著書も多い須賀敦子も推奨する「アラチェリの大階段」を通過し、隣接の「ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂」に向かいました。ここは、1870年のイタリア統一の立役者、ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の偉業をたたえて建てられた記念堂。首都ローマの中心地に位置しており、ヴェネツィア広場とカントリーノの丘の間に建設され、1911年に完成しました。壮麗な外観で圧倒的存在感があり、屋上からはローマの街が一望できます。

 続いて、「ナヴィーオ広場」に移動。ここは古代ローマの競技場の跡をそのまま使ったため、細長い楕円形になったといわれております。中央には、ベルニーニ作『4大河の噴水』、両サイドに『ムーア人の噴水』、『ネプチューンの噴水』があり、広場の周りにはカフェも多数あり、市民の憩いの場としてにぎわっています。

 そこから、「サン・ルージ・デイ・フランチェージ教会」に向かいました。フランスの守護聖人祀る教会。左側5番目の礼拝堂はカラヴァッジョの3部作『聖マタイと天使』、『聖マタイの召命』、『聖マタイの殉教』が並び、光と影、鮮烈な描写が印象的です。

 さらに、再度訪れたかった「パンテオン」に移動しました。アグリッパにより紀元前25年に創建された神殿。現存するローマ建築の完全な遺構であり、当時としては世界最大のコンクリートおよび石づくり建築。広さ、大きさ、建築技術の高さに驚嘆します。クープラの頂上には直径9mの天窓が開き、差し込む光がモザイク貼りの床を照らし、荘厳な雰囲気を醸し出しています。再訪ですが、改めて感動した建物です。


聖マタイの召命


9月21日(7日目)今回の研修旅行のもう一つの目玉。世界最小の独立国「ヴァチカン市国」の研修です。「ヴァチカン市国」のシンボル「サン・ピエトロ大聖堂」は、世界最大のキリスト教教会であり、カトリックの総本山。世界各国から信者が訪れます。

当日も混雑が予想されるため、早朝にホテルを出発。午前8時30分に現地に到着しましたが、すでに「サン・ピエトロ広場」には、大聖堂に入る人々の行列ができておりました。

 大聖堂は1506年に着工、1626年に完成しました。広々とした内部空間は荘厳でブロンズの天蓋が素晴らしく、入ってすぐの右側廊のミケランジェロ作の“ピエタ”には誰しも心を打たれます。その後、エレベーターで大クーポラ下の頂上テラスに移動しました。エレベーターを降りてから頂上テラスまで10層程度の狭い螺旋階段を昇らなければなりませんでしたが、頂上のテラスからはローマの市街地が一望でき、高さ136mから見下ろしたヴァチカン広場を中心としたローマの景色は見ごたえ十分。圧巻でした。


サン・ピエトロ大聖堂


そこから、隣接する「ヴァチカン美術館」に移動しました。「ヴァチカン美術館」は20もの美術館、図書館、絵画館などからなる巨大な複合施設です。コレクションは歴代の法王が集めた物が中心で、古代ギリシャ美術から始まり、さまざまな時代の美術的価値の高いものばかりで、すべてを見るにはとても時間が足りません。

要所のみ鑑賞し、次の見学地リチャード・マイヤー設計の「アラ・パキス」に向かいました。ローマ帝国初代皇帝アウグストウス政権時代の貴重な記念碑を保存する博物館で、白い大理石の壁に皇帝と家族の姿や神への信仰を表現する場面が精工に印刷されています。リチャード・マイヤーは、白い仕上げの明快な表現を得意とするアメリカの建築家で、この建築も彼の作品らしさが随所に現れていました。

 次に本日最後の見学地「スペイン広場」に向かいました。『ローマの休日』でオードリー・ヘプバーン扮するアン王女が訪れた名場面の広場。再訪ですが、ここに居るとジェラートを頬張っているアン王女に会えそうな気分に浸れます。


ヴァチカン美術館


9月22日(8日目)いよいよローマ最後の研修です。最初に「サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂」に向かいました。コンスタンティヌス帝がキリスト教を公認した直後に奉納された教会で、歴代教皇の公邸として使用されたこともあります。

17世紀には、バロックの代表的建築家ボッロ・ミーニにより修復されました。内部空間はサン・ピエトロ大聖堂に似た壮麗な空間であり、建築学科と思われる大学生が、内部空間を熱心にスケッチしていたのが印象的でした。

次に、「サン・カルロアッレ・クアトロ・フォンターネ教会」を訪れました。重厚な曲線が美しく、鬼才と称されたポッロ・ミーニの作品。教会建築には珍しい楕円形のクープラ、波のようにうねった庇等凹凸を巧みに使い強調したファサードは劇的な雰囲気を醸し出しています。ちなみに、ボッロミーニは、同時代の建築家・彫刻家ベルニーニとは強烈なライバル関係にあったそうです。

ここでも、学生が授業の一貫として内部空間を熱心にスケッチしており、日本の教育との違いを実感。建築デザイナーを育成する土壌の違いを思い知らされた思いでした。


サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂


続いて、ここから現代建築シリーズ。まずはザハ・ハディドの「国立21世紀美術館」。イタリア初の国立美術館であり、1999年の設計コンペから11年後に竣工しました。RC打ち放しのせり出した直線と曲線の外壁が入り混じり、細い列柱で支えている外観はインパクトがあり、規模も大きく遠くから見ても非常に際立つ建物です。内部空間も曲線を用いた壁面や吹き抜け部をうねった階段が縦横無人につらなり、ザハらしさが随所にみられるデザインとなっています。時間の関係で展示室閲覧は割愛しました。

次はレンゾ・ピアノ設計の「アウディトリューム音楽公園」。通称“アウディトリアム“パルコ・デッラ・ムジカ”は、2002年に竣工。あらゆる音楽ジャンルニーズを満たすための多機能複合施設です。ローマ旧市街地の北側に位置し、植物の海の上を飛ぶかのような3つの曲面の鉄の鎧に覆われた特徴ある外観の建物です。ここ数年で、ヨーロッパでもっとも多くの人々が訪れる音楽会場になったそうです。


アウディトリューム音楽公園


本日最後の研修地は、ボルゲーゼ公園にある「ボルゲーゼ美術館」。ボルゲーゼ家の夏の別荘を18世紀から美術館として使用しているそうです。展示品は主に、ベルニーニの代表作をはじめとする彫刻コレクション。「アポロンとダフネ」、「プロセルピーナの略奪」等彫刻は傑作ぞろい。また絵画は、カラヴァッジョの作品を多数閲覧することができました。

そして当日は私の誕生日。昨年に続き、ヨーロッパでの誕生祝いとなりました。
今回の研修旅行も非常に過密スケジュールでしたが、ほぼ当初の予定どおりの旅程をこなすことができ、昨年に続き充実した研修旅行となりました。

翌日9月23日にテルミニ駅を出発し、9月24日無事帰国しました。

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